基礎知識

「小人」の種類 ~11の種類・17の特徴・小人の意味~【世界の妖精】

列車を眺める小人

「小人」は、アニメや漫画のキャラクターなどで知られていますが、もともとの民間伝承の「小人」については知らない人の方が多いのではないでしょうか。

調べてみると、実は悪い「小人」が多かったり、また人間を嫌がったりする傾向があったりします。

小人の種類は多いのですが、特徴に共通点がたくさん見られるので、けっこう分かりやすいキャラクターかと思います。

この記事は、

  • 小人の種類
  • 小人の特徴
  • 小人の意味

の3章立てでお送りします。

今回は、「小人は実在した!」という視点ではなく、どちらかと言えば、「人間の心は、どうして小人を創ったのか?」という視点で進めています。

もちろん、結論が出るわけもないのですが、この記事で、少しは「小人」の本質に近づくことができると思います。

なお、『白雪姫』の7人の小人については、別の記事↓になってます。

【白雪姫】7人の小人シーン 原作との違いを比較【ディズニー&グリム童話】
【白雪姫】小人の名前と「4本指」について【伝承の小人は名前を嫌う】

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小人の種類

ドワーフ(Dwarf)

七人の小人

ドワーフ(Dwarf) ©Disney

白雪姫の小人です。

歌って踊って、よく働く小人です。

鍛冶に従事したり、鉱山で採掘作業をしています。

ドワーフは、次に紹介するドイツのツヴェルクが起源ともいわれます。

ちなみに、ディズニー版の「白雪姫」の原題は「Snow White and the Seven Dwarfs」です。

ツヴェルク(Zwerge)

Zwerge

ツヴェルク(Zwerge)

ドワーフと同種とされます。

ツヴェルクは、北欧神話を起源とする説があります。

北欧神話では、原初の巨人ユミールの腐肉から黒い小人として生まれます。

鍛冶の仕事にたずさわり、神々の武具を造りますが、太陽の光を浴びることによって、小人は石になってしまいます。

ちなみに、グリム童話版「白雪姫」の小人は、このZwergeが使われています。

コボルト(kobold)

Kobold

コボルト(kobold)

家の精。

一家に富をもたらしたり、反面、イタズラをしたりする小人です。

コボルトは、家主が留守の時に、家の片付けをしたり、家畜の世話をしたりします。

人間があからさまにお礼を与えてしまうと、家から出ていってしまうので、現地の人は、あくまでさりげなく、お礼することを心掛けているようです。

また、整理整頓されたきれいな部屋では、散らかしたり、イタズラしたりすることがあります。

ただ、それ以上の悪さはしないということです。

ブラウニー(brownie)

ブラウニー(brownie)

ブラウニー(brownie)

コボルトと同種、家の精。

スコットランドの妖精。

垂木に寝泊まりすることがあります。足はガチョウに似ていますが、いつも外套で隠しています。

教会の鐘をひどく嫌うため、人家に出入りすることをやめてしまったとも言われている妖精です。

ゴブリン(gobelin)

ゴブリン(gobelin)

ゴブリン(gobelin)

邪悪な小人の代名詞。

語源は、ギリシャ語の「恥知らず、ならず者、ゴロツキの悪霊」

容姿は醜く悪意をもった小人で、『アナと雪の女王』のアンデルセンの原作では、「邪悪な鏡」を造る職人でもあります。

人間を不幸におとしいれますが、反対に財宝をもたらすこともあります。

例外的に、イングランドのゴブリンは友好的な小人のようです。

トロール(trold、troll)

トロール(trold、troll)

トロール(trold、troll)

北欧の妖精。

地の精から家の精まで、妖精の全般を指します。

巨人でも、小人でもありますが、姿は変幻自在で、多くは醜悪な容貌です。

スウェーデンの民間伝承では、トロールを自然、万能の存在としています。

トロールが苦手とするものは、教会の鐘で、建設中の教会を破壊したり、完成した教会に岩や石を投げつけたりします。

また、稲妻を怖がり、日光に触れると石に変わってしまいます。

ちなみに、「トロールの岩」と言われているアイスランドの岩が、観光地になっているようです。

トロールの岩

アイスランドのトロールの岩



ノーム(Gnome)

ノーム(Gnome)

ノーム(Gnome)

地の精。

地下に住んで宝物を守っています。

また、小人でお馴染みのトンガリ帽子は、このノームの帽子のようです。

ノームは、人間とのコミュニケーションに、非常に消極的な小人です。

コロポックル(korpokkur)

コロポックル

コロポックル(korpokkur)

日本代表の小人。

コロポックルは、「ふきの葉の下の人」という意味で、ふきの葉を屋根にして、竪穴の中に住んでいた小人です。

アイヌ民族が住み着く前の先住民で、贈り物交換などの交流をしていましたが、姿を見られることをひどく嫌うため、窓越しにこっそり受け渡しをしていたということです。

ある日、アイヌの若者が姿を見ようと、腕を引っ張り出したところ、その腕には入れ墨があったのを目撃しましたが、この事件に憤慨したコロポックルは、それ以来、北の海へと去っていったといいます。

エルフ(Elves)

エルフ(Elves)

エルフ(Elves)

妖精の総称として用いられるエルフですが、小人を指すこともあります。

人間くらいの大きさという伝承も多いエルフは、容姿が美しいため、人間たちを引きつけますが、尻には雌牛の尻尾が生えていたり、背中が空洞になっていたりします。

ノッカー (Knocker)

イギリスの鉱山の精霊。

炭鉱の深い坑道で「コンコン」と岩肌を叩く音で、人間に新たな鉱脈を知らせてくれるようです。

彼らが最も嫌うのは、人間から積極的に働きかけられること、大声、口笛、十字を切られることとされ、じっさいの鉱夫たちは、ノッカーを気遣って、鉱山ではなるべくそのようなことは控えたといいます。

気分を害すると、消えていなくなったり、人間たちへの報復や、災難を与えたりすることがあるようです。

ヤースキン(Yarthkin)

ヤレリー・ブラウン(Yallery Brown)

ヤレリー・ブラウン(Yallery Brown)

大地の種族。

大地から生まれた小人です。

人間に作物を恵んでくれますが、お礼を期待しているらしく、無視されると、危険な存在になるといいます。

なかでも、ヤレリー・ブラウン(Yallery Brown)という小人は悪意が強かったようです。

石の下で、自分の髭が全身に絡まって身動き取れなかったヤレリー・ブラウンを若者が助けてやると、「なんでも願いをかなえてやる」と言ってきたといいます。

若者は「仕事を手伝って欲しい」と応じると、「手伝ってやるが、礼だけは言うな」と忠告。

すると、翌朝にはぜんぶ仕事が片づいていたのはよかったのですが、同僚の仕事は散々に荒されたので、たまりかねた若者はヤレリー・ブラウンにお礼を言います。

ヤレリー・ブラウンは「わしに礼を言ったな! 礼を言ってはいけないと言っただろう! バカめ! 手助けはしないが、邪魔をしてやる!」

それ以来、ヤレリー・ブラウンが死ぬまで付きまとったので、若者は何をやってもうまくいかなかったということです(2)。

まとめ:小人の種類

以上、小人の種類でした。

ともかく、小人の数は、もっとたくさんいるにはいるんです。単にツヴェルクの方言だったり、古来の言い方だったりと、結局、どの小人を指しているのかさえ、分からなくなってしまう感じですね。



小人の特徴

kobito

「小人ならでは」の特徴を並べてみました。

読み進めると、「意味」が気になると思いますが、それは、次章で解説しています。

悪い小人もいる

半分くらいは、悪い小人です。

歌を唄い、踊る

感情表現?

仕事に関係している

仕事は、母性や大地に対抗するものです。

鉱夫や鍛冶の仕事をしている

宝を探しているとも、新たな鉱脈を探しているとも言われます。

鍛冶では、鉱物から神々の武器をつくります。

宝物を探している

新たなものをもたらすと創造性の意味。

宝物を持っている

いい小人も、悪い小人も、宝物はもっているようです。

それが人間にもたらされることもありますが、昔話が伝えるところでは、仕事も家もなくなって、最後に残った一つのパンでさえも、小人は遠慮なく欲しがったりします。

それを小人に与えられるくらいの心の持ち主でなければ、宝物は手に入らないようです。

大地に関係している

竪穴に住んでいたり、鉱山で採掘したり、ちょっとした地中が好きなようです。

やはり、そのあたりにある鉱物を利用して、ものをつくったりします。

人間に頼み事をしてくる

小人の頼み事を受け入れたとしても、必ずしもいいことがあるとは限らないようです。

人間が困った時に現れる

主人公が、困窮におちいったときにしばしば現れます。

この状況で、小人の忠告を受け入れれば、幸福をもたらされます。

お礼や贈り物を交換し合う関係がある

人間と贈り物を交換したり、お礼をしあったりします。

小人は、その時の人間の対応を一挙一動、注意深く見ているところがあります。

キリスト教を嫌う

多くの小人は、教会の鐘を嫌っています。

キリスト教が原因で、消え去ったり、乱暴になったりします。

名付けられることを嫌う

命名されることに耐えられないようです。

この時、小人は、ほとんど悪魔のようになります。

太陽の光を浴びると石になる

小人は、大地と深い関係があります。

積極的に働きかけられることを嫌う

グリム兄弟の兄ヤーコプも、「小人は、人間を恐れている」ということを言っています。

自分の姿を見えなくする能力が備わっている

一説には、とんがり帽子が姿を消してくれるようです。

以前の先住民で、土地から追い出された種族

コロポックルは、北海道にアイヌが住む以前に生活していた種族と伝わっています。

ゲルマン族にも同様の伝承があります。

「小人が先住民」というのは、征服した民族の視点で、以前の民族を見下した見方があるのでは?という意見もあります。

子供をさらう

人間の子供は、小人以外にも、妖精、異人に好まれるようで、よく連れ去られます。

また、人間の子供を連れ去ったかわりに、その子によく似た妖精の子供を置いていくという「取り替え子」といった民間伝承もあります。

まとめ:小人の特徴

以上、小人の特徴をざっくりと並べてみました。

つづいては、小人の意味についてですね。

小人の意味

挿し絵

いろいろな特徴がありましたが、どうしてそんな特徴があるのかな?と疑問に思った人もいるかと思います。

そこで、ここからは小人の意味について解説したいと思います。

まず、前提として、小人は「人間の心が作り出したもの、またはそうせざるを得なかったもの」といった解釈で進めていきます。

専門家の多くが言っていることなんですが、小人の意味というのは、

自然の諸力

というのが、おおかたの見方ですね。

自然の一部分の擬人化といった感じです。

また、心理的な意味で、違う言い方をすれば、「意識化されそうな内容」とも言えますね。

このあたりから、創造性と関係が見えてきます。

小人の天敵

小人が嫌っていたことが、いくつかあったかと思います。

これらは、小人=自然ですから、自然が嫌うものでもあるのでしょう。

  • 命名、名付けられること
  • キリスト教
  • 太陽の光で石になる
  • 姿を見られること
  • 積極的に働きかけられること

これらのイメージ的な共通点は、ロゴス、言葉、意識みたいなものかと思います。

確かに、自然はこういうものを嫌うのかもしれません。

以下、解説します。

人間は名前を付けることで、自然の魔力を封じている

小人の挿し絵

命名は、自然の魔力への対抗手段です。

私たちの心は、名前を付けることで安定を保っています。

なにもかもが、名前のない世界、名付けられていない世界など、想像もできませんが、きっと不安でたまらないでしょう。

人間は不安になりますが、小人にとってはそんな世界が、心地がいいようです。

このへんのギャップが、小人vs人間、自然vs名付け、という感じになるのでしょう。

キリスト教を嫌う意味

キリスト教は、神の「言葉」が大事になってくる父性的な宗教ですね。

根本的なところでは、自然や女性的なものを排除する傾向にあるので、小人も例外ではないでしょう。

また、「小人」の象徴的な意味が、キリスト教が広まる以前の倫理観や、キリスト教に従わない人たちという見方もあるようです。

太陽の光に当たると石になる意味

挿し絵

これも、命名と同じような意味になります。

太陽の光の意味

太陽の光は、象徴的な意味では「意識」を意味します。

光がないと、暗闇で、意識できなくなってしまうので、象徴的に「光=意識」ですね。

つまり、「太陽の光」が嫌だという小人は、「人間の意識」が嫌ということですね。

だから、小人は人間に姿を見られたくもないし、積極的に働きかけられたくもないのでしょう。

石になる意味

この意味は、おそらく石のように固定化して、生命力を失ってしまうという表現でしょう。

小人が「太陽の下にさらされたときに、石になる」という意味は、人間の意識に捉えられたと見ることができます。

母なる大地と小人

母性的なものと、仕事は対立関係にあります。

仕事に行けない、学校に行けないというのは、否定的な母性が強い傾向のある人です。

毎日、会社や学校に行ったりすることにうんざりする人も多いでしょうが、それによって、白雪姫の継母のような傾向を抑え込んでいるとも言えるのです。

ですから、小人が大地に関する仕事をしているのは「母なるもの」に対しての一つの抵抗勢力なんでしょう。

小人は、以前の先住民の意味

小人を心理的に見れば、「意識化する以前の創造性」のようなものです。

この状態を意識化した後に、過去を振り返るようにして語るとすれば、「先住民」みたいな形になるのではないでしょうか。

まとめ:小人の意味

以上、小人の意味についてでした。

小人というのは、おそらく「人間の意識」と「自然」とのバランスをはかるために出てくのかもしれませんね。

今回は以上です。

参考文献
(1)高木昌史(2002)『グリム童話を読む事典』三交社.
(2)キャサリン・ブリッグズ(1992)『妖精事典』(平野敬一ほか共訳)富山房.

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